「ふぁ〜……む」
大きな口を開け欠伸をしながら知世は放課後の教室をあとにした。
「めっちゃ行きたくないわぁ……」
放課後の未だ賑わいを見せる廊下で一人ため息混じりに呟いた。
知世のクラスは三階のちょうど真ん中に位置しており、四階の端に位置する生徒会室までは少し距離がある。
「ん……だるいなぁ……」
誰に言うでもなく愚痴りながら生徒会室の前にたどり着いたとき、生徒会室の扉が先に開いた。
「あら、ともちゃん?早かったのね」
そこから姿を現したのは梨香だった。
「お?梨香も水野に呼ばれたんか?」
「違うのよ、ちょっと私用でね。はいどうぞ」
そう言うと梨香は知世が入りやすいように身体を端に寄せる。
「ん?ついでに梨香も一緒に行こうや?」
「いいのよ私は。水野君待ってるわよ」
知世の肩をちょんと撫でて梨香は教室の方に向かって歩いていった。
「なぁ、今日部活は?こっちの用が終わったら行こうか?」
「今日は休みにするわ、じゃあね」
梨香は振り返らずに手をひらひらと振って答えた。
その後姿を見送ってから、知世は改めて生徒会室に入った。
「やぁ、早かったね」
電気の点いていない薄暗い室内に水野は待っていた。
「約束どおり来てやったんや、さっさと言ってや」
軽く睨みながらアウェイである生徒会室でも怯むことなく言い放つ。
「相変わらずせっかちだな。条件のことだね」
「そうや……」
水野はすっと知世を流し見た。
「哲学研究会の部費の申請の許可条件は……」
知世は無意識のうちに唾を飲み込んでいた。
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