2009年11月24日

わんだー・えすけーぷ〜4〜

−4−

「ふぁ〜……む」

大きな口を開け欠伸をしながら知世は放課後教室をあとにした。

「めっちゃ行きたくないわぁ……」

放課後の未だ賑わいを見せる廊下で一人ため息混じりに呟いた。

知世のクラスは三階のちょうど真ん中に位置しており、四階の端に位置する生徒会室までは少し距離がある。

「ん……だるいなぁ……」

誰に言うでもなく愚痴りながら生徒会室の前にたどり着いたとき、生徒会室の扉が先に開いた。

「あら、ともちゃん?早かったのね」

そこから姿を現したのは梨香だった。

「お?梨香も水野に呼ばれたんか?」

「違うのよ、ちょっと私用でね。はいどうぞ」

そう言うと梨香は知世が入りやすいように身体を端に寄せる。

「ん?ついでに梨香も一緒に行こうや?」

「いいのよ私は。水野君待ってるわよ」

知世の肩をちょんと撫でて梨香は教室の方に向かって歩いていった。

「なぁ、今日部活は?こっちの用が終わったら行こうか?」

「今日は休みにするわ、じゃあね」

梨香は振り返らずに手をひらひらと振って答えた。

その後姿を見送ってから、知世は改めて生徒会室に入った。

「やぁ、早かったね」

電気の点いていない薄暗い室内に水野は待っていた。

「約束どおり来てやったんや、さっさと言ってや」

軽く睨みながらアウェイである生徒会室でも怯むことなく言い放つ。

「相変わらずせっかちだな。条件のことだね」

「そうや……」

水野はすっと知世を流し見た。

「哲学研究会の部費の申請の許可条件は……」

知世は無意識のうちに唾を飲み込んでいた。
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2009年11月17日

わんだー・えすけーぷ〜3〜

−3−

「水野ってちょっと頭おかしいんと違う……?」

生徒会長室に叫び声が轟いた翌日の食堂で知世と梨香の二人は昼食を取りながら昨日のことについて話していた。

「こらこらともちゃん、お行儀が悪いわよ?」

喋りながら割り箸を振り回す知世をたしなめる。

「ああ、ごめん……」

さほど反省した様子もなく空中をさ迷っていた箸を食べていたうどんの器に戻す。

「ほんでな、えっと……何の話してたんやっけ?」

知世は文字通り首をかしげながら箸を持ったままでこめかみに手を当てる。

「昨日ともちゃんが生徒会長室へ水野君に抗議してくるって飛び出して行った後に何か言われたんでしょ?」

穏やかな微笑を浮かべながら梨香はその質問に答える。

知世がうどんを半分くらいまで減らしているのに対して、梨香は定食についてくるサラダをゆっくりと食べている。

「そうやったそうやった。水野ったらなんか条件付きで部費の申請を許可してやるって言いよるんよ」

先ほど注意されたにもかかわらず知世は箸をくるくると回しながら生徒会長室での出来事を説明する。

「条件……?」

知世よりよほどそのポーズが様になる梨香が首をちょいと傾げてみせた。

「うん、それがな……今日の放課後、もう一度生徒会長室に来いって言われた」

勿体つけたわりにつまらない話だろうとばかりに首を竦めながらリアクションをとってみせる。

「あら、そうなの……」

その返答に梨香は何か思案を巡らせるように相槌を打った。
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2009年11月10日

わんだー・えすけーぷ〜2〜

−2−

「こらぁ〜!」

普段は静かな生徒会室に怒声が響き渡った。

「ん……?」

雑務をこなしていた生徒会長はさも平然とした様子で顔を上げた。

「み〜ず〜の〜!」

まさに肩で息をしながら憤怒の形相で生徒会長を睨み付ける知世の姿がそこにあった。

「やぁ、そろそろ来る頃だと思っていたよ」

知世とは対照的に冷静な様子で生徒会長である水野伸は応えた。

「あんたねぇ!うちの部に何の恨みがあるっていうんや?」

抑えきれない怒りを何とか宥めつつ知世は伸に詰め寄った。

「君のところは現在は部ではなく同好会だろう?」

笑みを含んだ顔で伸は間違いを指摘した。

「一体誰のせいだと思っているんや?」

今にも伸に噛み付かんとばかりに知世は挑発に乗る。

「正直君の部、いや今は同好会である哲学研究会自体には恨みはないんだ」

あくまで冷静に伸は説明する。

「だったら何でや!?」

「それはもちろん知世のことをからかうのが楽しいからさ」

「…………」

暫しの沈黙の後、

「ふざけんなぁーーー!」

今日一番の叫び声が生徒会長室にこだました。
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2009年11月03日

わんだー・えすけーぷ〜1〜

−1−

「何で!?部費の申請が許可されないって一体どーゆうことや!?」

文字通りバシバシと大げさに机を叩きながらの叫び声が対して広くも無い哲学研究会(仮)の部室に響いた。

「う〜ん、それがね……」

その叫び声を真正面から受けながら申請に行った張本人は申し訳なさそうに眉をひそめた。

「何でも『君のところの副部長が事あるごとに生徒会長である僕に言いがかりを付けるのでこちらとしても少々実力行使にださせてもらおうかとね』……ってことなのよ」

「ぬな!?」

リアクション芸人でも感服するような大げさな体勢のまま、その話題の中心人物である副部長は固まった。

「そ、そんなん!あたしに対する言いがかりで、部には関係あらへんやん!」

「ごめんね、私としても説得しようと一応は頑張ったんだけど……」

「梨香……じゃなくって部長は関係あらへんよ!大体、元々部であった哲学研究部を同好会に格下げした時も大体今の話みたいに!」

般若の形相でここにはいない生徒会長であるあの男への怒りをあらわにする。

「まぁまぁ、過ぎたことだもの気にすることは無いわ。」

小さい子にするように部長である服部梨香は副部長の性格には似つかわしくないほどのさらさらの髪を撫でた。

「あかん!それじゃあたしの気がおさまらへんねや!生徒会長室行ってくる!」

言うが早いか哲学研究会副部長の飯田知世は部室を飛び出していた。

「はぁ……まったく懲りないんだから」

口調とは反対に面白くてたまらないという表情で梨香は親友の後ろ姿を見送った。
posted by ルエ at 17:55| Comment(0) | わんだー・えすけーぷ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月30日

わんだー・えすけーぷ

わんだー・えすけーぷ

人物
飯田知世(イイダトモヨ)
哲学研究会副部長
関西なまりの勝気な性格
◇服部梨香(ハットリリカ)
哲学研究会部長
穏やかを地で行く癒し系
◇水野伸(ミズノシン)
生徒会長
知世以外の誰からも慕われるサド王子

…って感じで現在執筆中です。
気長にお待ちをわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)
posted by ルエ at 14:47| Comment(0) | わんだー・えすけーぷ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月26日

blood

明暗を分ける一瞬 刹那に煌めく花
その光景は 見目麗しく

つながらない時間に 不安を塗り重ねては
深遠の思いごと あなたに捧げる

鼓動は闇を 彩る羅刹
迎えるは今 翼広げて

咲き乱れる 紅い旋律
狂おしいほど 瞳を焼く
結ばれぬ願い 抱きしめて、さぁ
終幕を描こう…… 
posted by ルエ at 19:39| Comment(0) | 詞(詩?) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

流絵ですよー!

はいは〜いexclamation×2
ワタクシ流絵、久しぶりのブログ更新です。

え〜…どうして最近小説本更新しないのか…ですが、

………。

…はい、執筆中のデータ全部消えましてですね…がく〜(落胆した顔)

ずぅ〜っと戦意喪失と言いますか、やる気なくなっちゃいまして…もうやだ〜(悲しい顔)

ってわけで、小説の続きなんて一切書いてないのですが、
何かそれじゃぁこの拙いブログを呼んでくださってる皆さんに申し訳ないなと…あせあせ(飛び散る汗)

そういうわけで
作詞の1部をここにのっけちゃおとわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)

はい、ごめんなさい
小説の方は何とか考えますので
ちょっと作詞(詩?)の方ごらんあそばせ…たらーっ(汗)
posted by ルエ at 19:16| Comment(0) | 手記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月13日

白歴その3

響く響く何処までも遠く
響く響くいつまでも長く

キーンコーンカーンコーン

「うはー! お昼ご飯だー」
このチャイムの音こそが私の至福の時間、言うなればエデン。
「ばかもん、まだ授業は終わっとらん……まぁやる気も削がれたし、今日はここ
まで。ちゃんと復習しておくようにな」
そう言って古文の担当の先生は呆れたような顔で教室をあとにした。
「くーちん、お昼ご飯一緒に食べよ」
もう腹ペコだ。
「バカ野郎、教師がまだいる内からあんなこと言う奴があるか、まったく」
片手で軽く頭を抱えるジェスチャーをしながら毒づきながらも、くーちんは私と
昼食を食べる為に机の上を片付け始めた。
「今日のお弁当はね、くーちんの大好きな唐揚げ入ってるんだよ! 嬉しいでし
ょう」
基本的に私とくーちんのお弁当は私が作ってくることになっている。
最初は嫌だと言っていたくーちんも、今ではなんだかんだで喜んでくれているよ
うだ。
「あーはいはい、とっても嬉しいなぁ……」
「やっぱりね」
棒読みだったことは気にしない。
「ほら、さっさと食っちまおうぜ」
「あーい」
待ってましたとばかりに私がお弁当の入った包みをくーちんの机の上に置いたと
ころで呼び出しを告げる放送が響いた。
『生徒会長の橘千鶴(タチバナチヅル)さん、至急生徒会室までおこしください』
「なー!? 」
「だってさ。ほら、お前の分の弁当持っていきな」
私のエデン……

posted by ルエ at 19:52| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月08日

白歴その2

流動する鼓動は脈動を止めず……
集束する約束は拘束を止めず……

「到着ー♪ 」
遅刻ぎりぎりに教室に入って一安心の意味を込めて私は声を出した。
「嬉しそうな声あげてるんじゃねぇよ、ちづが寝坊しなけりゃこんなに慌てて登校しなくて済んだぜ……まったく」
私の後ろから心底呆れたようにくーちんがぼやいた。
「だって低血圧なんだもん、仕方がないじゃん! 」
精一杯の言い訳だ。
「ちづのは度を越えてるっての……まったく」
失敗。

その時、くーちんのさらに後ろから声がした。
「こらこら、朝のホームルーム始めるぞ! 」
担任の先生のひと声で大人しく席に着くことになった。

今日も新しい一日が始まる。
posted by ルエ at 09:20| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月22日

白暦その1

ただ白く
ただ白く
延々と続くこの白い世界の中で、私は動き方すらも忘れてしまったのだろうか?
ただ立ち尽くし、誰かを待っている。
誰だろう?
私の待ち人、まだ来ない……。

「おーい」
その思考を遮るかのように、白一色の世界の向こうから声が聞こえた。
「おお、いたいた。探したぞ、まったく」
「ふあ……くーちん!? 」
白い世界から滲み出るようにして、私の白い世界に飛び込んできたのは幼馴染みの「金井駆庵(カナイクアン)」通称「くーちん」
「なーに寝ぼけたような声出してるんだ、まったく。お前ん家の母親にちづが帰ってこないのって泣きつかれて探しに来てやったって言うのに……」
心底げんなりしたような顔をして、でも何となく本当に私のことを心配してくれてるんだなって分かる様子でくーちんは愚痴り始めた。
「あーはいはい。ありがとうございます」
素直に謝る。これがくーちんのお説教を最短で済ます方法だ。
「分かってるのか? まったく……」
「そんなことより早く帰ろうよ」
いつもの口癖、「まったく」を連発するくーちんの背中を押して帰宅を促した。
「まったくお前は……」

白い雪の埋め尽くす世界。
その中で私たちは生きている。
その中で私たちは生きていく。
posted by ルエ at 20:18| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする