2009年11月10日

わんだー・えすけーぷ〜2〜

−2−

「こらぁ〜!」

普段は静かな生徒会室に怒声が響き渡った。

「ん……?」

雑務をこなしていた生徒会長はさも平然とした様子で顔を上げた。

「み〜ず〜の〜!」

まさに肩で息をしながら憤怒の形相で生徒会長を睨み付ける知世の姿がそこにあった。

「やぁ、そろそろ来る頃だと思っていたよ」

知世とは対照的に冷静な様子で生徒会長である水野伸は応えた。

「あんたねぇ!うちの部に何の恨みがあるっていうんや?」

抑えきれない怒りを何とか宥めつつ知世は伸に詰め寄った。

「君のところは現在は部ではなく同好会だろう?」

笑みを含んだ顔で伸は間違いを指摘した。

「一体誰のせいだと思っているんや?」

今にも伸に噛み付かんとばかりに知世は挑発に乗る。

「正直君の部、いや今は同好会である哲学研究会自体には恨みはないんだ」

あくまで冷静に伸は説明する。

「だったら何でや!?」

「それはもちろん知世のことをからかうのが楽しいからさ」

「…………」

暫しの沈黙の後、

「ふざけんなぁーーー!」

今日一番の叫び声が生徒会長室にこだました。
posted by ルエ at 16:23| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月03日

わんだー・えすけーぷ〜1〜

−1−

「何で!?部費の申請が許可されないって一体どーゆうことや!?」

文字通りバシバシと大げさに机を叩きながらの叫び声が対して広くも無い哲学研究会(仮)の部室に響いた。

「う〜ん、それがね……」

その叫び声を真正面から受けながら申請に行った張本人は申し訳なさそうに眉をひそめた。

「何でも『君のところの副部長が事あるごとに生徒会長である僕に言いがかりを付けるのでこちらとしても少々実力行使にださせてもらおうかとね』……ってことなのよ」

「ぬな!?」

リアクション芸人でも感服するような大げさな体勢のまま、その話題の中心人物である副部長は固まった。

「そ、そんなん!あたしに対する言いがかりで、部には関係あらへんやん!」

「ごめんね、私としても説得しようと一応は頑張ったんだけど……」

「梨香……じゃなくって部長は関係あらへんよ!大体、元々部であった哲学研究部を同好会に格下げした時も大体今の話みたいに!」

般若の形相でここにはいない生徒会長であるあの男への怒りをあらわにする。

「まぁまぁ、過ぎたことだもの気にすることは無いわ。」

小さい子にするように部長である服部梨香は副部長の性格には似つかわしくないほどのさらさらの髪を撫でた。

「あかん!それじゃあたしの気がおさまらへんねや!生徒会長室行ってくる!」

言うが早いか哲学研究会副部長の飯田知世は部室を飛び出していた。

「はぁ……まったく懲りないんだから」

口調とは反対に面白くてたまらないという表情で梨香は親友の後ろ姿を見送った。
posted by ルエ at 17:55| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月30日

わんだー・えすけーぷ

わんだー・えすけーぷ

人物
飯田知世(イイダトモヨ)
哲学研究会副部長
関西なまりの勝気な性格
◇服部梨香(ハットリリカ)
哲学研究会部長
穏やかを地で行く癒し系
◇水野伸(ミズノシン)
生徒会長
知世以外の誰からも慕われるサド王子

…って感じで現在執筆中です。
気長にお待ちをわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)
posted by ルエ at 14:47| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月26日

blood

明暗を分ける一瞬 刹那に煌めく花
その光景は 見目麗しく

つながらない時間に 不安を塗り重ねては
深遠の思いごと あなたに捧げる

鼓動は闇を 彩る羅刹
迎えるは今 翼広げて

咲き乱れる 紅い旋律
狂おしいほど 瞳を焼く
結ばれぬ願い 抱きしめて、さぁ
終幕を描こう…… 
posted by ルエ at 19:39| Comment(0) | 詞(詩?) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

流絵ですよー!

はいは〜いexclamation×2
ワタクシ流絵、久しぶりのブログ更新です。

え〜…どうして最近小説本更新しないのか…ですが、

………。

…はい、執筆中のデータ全部消えましてですね…がく〜(落胆した顔)

ずぅ〜っと戦意喪失と言いますか、やる気なくなっちゃいまして…もうやだ〜(悲しい顔)

ってわけで、小説の続きなんて一切書いてないのですが、
何かそれじゃぁこの拙いブログを呼んでくださってる皆さんに申し訳ないなと…あせあせ(飛び散る汗)

そういうわけで
作詞の1部をここにのっけちゃおとわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)

はい、ごめんなさい
小説の方は何とか考えますので
ちょっと作詞(詩?)の方ごらんあそばせ…たらーっ(汗)
posted by ルエ at 19:16| Comment(0) | 手記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月13日

白歴その3

響く響く何処までも遠く
響く響くいつまでも長く

キーンコーンカーンコーン

「うはー! お昼ご飯だー」
このチャイムの音こそが私の至福の時間、言うなればエデン。
「ばかもん、まだ授業は終わっとらん……まぁやる気も削がれたし、今日はここ
まで。ちゃんと復習しておくようにな」
そう言って古文の担当の先生は呆れたような顔で教室をあとにした。
「くーちん、お昼ご飯一緒に食べよ」
もう腹ペコだ。
「バカ野郎、教師がまだいる内からあんなこと言う奴があるか、まったく」
片手で軽く頭を抱えるジェスチャーをしながら毒づきながらも、くーちんは私と
昼食を食べる為に机の上を片付け始めた。
「今日のお弁当はね、くーちんの大好きな唐揚げ入ってるんだよ! 嬉しいでし
ょう」
基本的に私とくーちんのお弁当は私が作ってくることになっている。
最初は嫌だと言っていたくーちんも、今ではなんだかんだで喜んでくれているよ
うだ。
「あーはいはい、とっても嬉しいなぁ……」
「やっぱりね」
棒読みだったことは気にしない。
「ほら、さっさと食っちまおうぜ」
「あーい」
待ってましたとばかりに私がお弁当の入った包みをくーちんの机の上に置いたと
ころで呼び出しを告げる放送が響いた。
『生徒会長の橘千鶴(タチバナチヅル)さん、至急生徒会室までおこしください』
「なー!? 」
「だってさ。ほら、お前の分の弁当持っていきな」
私のエデン……

posted by ルエ at 19:52| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月08日

白歴その2

流動する鼓動は脈動を止めず……
集束する約束は拘束を止めず……

「到着ー♪ 」
遅刻ぎりぎりに教室に入って一安心の意味を込めて私は声を出した。
「嬉しそうな声あげてるんじゃねぇよ、ちづが寝坊しなけりゃこんなに慌てて登校しなくて済んだぜ……まったく」
私の後ろから心底呆れたようにくーちんがぼやいた。
「だって低血圧なんだもん、仕方がないじゃん! 」
精一杯の言い訳だ。
「ちづのは度を越えてるっての……まったく」
失敗。

その時、くーちんのさらに後ろから声がした。
「こらこら、朝のホームルーム始めるぞ! 」
担任の先生のひと声で大人しく席に着くことになった。

今日も新しい一日が始まる。
posted by ルエ at 09:20| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月22日

白暦その1

ただ白く
ただ白く
延々と続くこの白い世界の中で、私は動き方すらも忘れてしまったのだろうか?
ただ立ち尽くし、誰かを待っている。
誰だろう?
私の待ち人、まだ来ない……。

「おーい」
その思考を遮るかのように、白一色の世界の向こうから声が聞こえた。
「おお、いたいた。探したぞ、まったく」
「ふあ……くーちん!? 」
白い世界から滲み出るようにして、私の白い世界に飛び込んできたのは幼馴染みの「金井駆庵(カナイクアン)」通称「くーちん」
「なーに寝ぼけたような声出してるんだ、まったく。お前ん家の母親にちづが帰ってこないのって泣きつかれて探しに来てやったって言うのに……」
心底げんなりしたような顔をして、でも何となく本当に私のことを心配してくれてるんだなって分かる様子でくーちんは愚痴り始めた。
「あーはいはい。ありがとうございます」
素直に謝る。これがくーちんのお説教を最短で済ます方法だ。
「分かってるのか? まったく……」
「そんなことより早く帰ろうよ」
いつもの口癖、「まったく」を連発するくーちんの背中を押して帰宅を促した。
「まったくお前は……」

白い雪の埋め尽くす世界。
その中で私たちは生きている。
その中で私たちは生きていく。
posted by ルエ at 20:18| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月18日

アンジェリカとアンジェリーナ

「私はあなた」
「あなたは私」
「私はあなた?」
「いいえ、あなたはあなた」
「私は私?」
「でも、あなたは私」
薄暗がりの部屋の中に鏡映しのように向かい合っている少女が2人。
1人は赤いバラ、もう1人は白いバラを棘が刺さらないようにそっと持っている。
互いの瞳にはもう一人の姿を映していた。
「私の手には赤いバラ」
「私の手には白いバラ」
「互いに決して交わらず」
「互いに決して犯されない」
つぶやき合う2人の距離は互いの吐息が届きそうな距離であった。
「綺麗なバラには棘がある」
「綺麗なバラは近づくものを傷つける」
「私はあなたを傷つけない」
「私はあなたに触れはしない」
静寂の降りた部屋の中で少女が2人……。
posted by ルエ at 11:40| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月25日

【小説】シューティング・ドリーム

「うっ……っく……っ!」
身体全体を襲う激しい痛み。
誰が名づけたかは知らないが、今日が聖夜……クリスマスだってことは知っている。
こんな世間が浮かれるような日には早く眠ってしまいたいのだが、病魔ってやつはそんな事お構いなしだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
痛みの波が引いたところでやっと呼吸を落ち着けられる。
確か鎮痛剤の投与から4時間しか経っていない。最低でも6時間の間隔を置かなければいけない薬だが、私の身体への効果は日に日に薄くなっているようだ。
「世界なんて……滅んでしまえ……」
ふと口を付いて出た言葉に意外なほどに現実味が無くて、途方に暮れつつ窓の外を見た。
冬の空は驚くほどに澄み切って儚くも確かな輝きがそこには存在していた。
「………………」
小さな病室に静寂が戻った。
「……サンタさん……かぁ……」
今はこんな私でも、昔は無邪気にサンタクロースの存在を信じていた。
「コツッ」
静寂に満たされた病室に突然何かの物音が響いた。
「…………?」
身体を無理に刺激しないように注意して辺りを見回すが小さな病室の中には別段変化は無い。
「……コツッ」
またしても物音。
今度は確かに聞こえた、窓に何かが当たる音だ。
「……コツッ……コツッ」
小さな小石か何かを窓に当てているようだ。
私はのそりと身体を動かして窓を開けてみることにした。
「……?……あいたっ!」
まさか相手も窓が開くと思っていなかったらしく、私が窓を開けたときにちょうど頭の辺りに小石のようなものが当たった。
「!……ご、ごめん! 大丈夫?」
声の主は私の病室のすぐ下のほうに立っていた。
ニット帽を目深にかぶってはいたが、声の調子から少年だということは推測出来た。
「う、うん……」
正直いつもの痛みに比べればたいしたことは無かった。
「あのさ……今日が何の日か知ってる?」
突然現れた少年はいきなり何の前ふりも無くそう訊ねてきた。
「何の日って……クリスマスでしょ?」
いきなりの質問ではあるが、私の口調は知らず知らずのうちに尖ったものになっていた。
「君さ、サンタクロースって信じてる?」
私の答えを聞いているのか聞いていないのか、今度はそんな事を訊ねてきた。
「…………あのさ、突然何なの? 信じてないよ、信じられないよ……」
少しずつイライラし始めた私は、苛立ちを隠さずにそう答えた。
「そっか……。僕はサンタじゃないけれど、君の願いをひとつだけ叶えることが出来るんだ」
今度は願いを叶えると言い始めた。
「はぁ? …………じゃあさぁ、私の病気を治してって言ったら治してくれるわけ?」
今の私の望みといえばこの病気の完治である。だけどこの病気は……。
「……良いよ」
小さいけれど確かな声で少年は言った。
「…………嘘、無理だよ。この病気はもう治らないんだよ……」
そう、私の身体は悪性の腫瘍が蝕んでいて、現在の医学技術では手に負えないものらしい。
「大丈夫だよ。僕が治してあげる、それが君の望みだから」
先ほどよりもはっきりとした声で目の前の少年は告げた。
「だから無理だって……」
「……大丈夫」
イライラした気持ちを抑えきれずに私が声を荒げかけたところに、遮るようにして少年はもう一度そう言った。
「…………だったら、あんたが手術でもしてくれるってわけ?」
私の病気を治すというなら、少なくとも手術のひとつもしなければまず無理だろう。
「僕は手術なんて出来ない」
少年はしかし、きっぱりと呟いた。
「じゃあ一体どうするっていうの?」
僅かに浮かんだ希望を根底から否定されたような気持ちになって、半ば呆れたようにして聞き返した。
「空を見て」
私と同じか少し小さく見える手で空の方向を指差して示してくれる。
「…………空?」
言われるがままに見上げると満天の星空。しかしこれといって普段と違うところは見られない。
「今、君の目には何が見えてる?」
空を見上げているせいで少年の表情は窺えないが、その声はやけに明るいものだった。
「何って……星空だよ」
当たり前といえば当たり前なことを答える。
「もう少ししたら流れ星が見えるんだ。君はその流れ星が見えている間、さっき僕に言ってくれた願い事をただ強く願うだけで良い」
さも当然のことを言うようにして、少年は夢物語のような事を告げた。
「はぁ……?」
いきなりの告白に間抜けな声を上げて少年の顔を見たが、そのニット帽に翳る表情は真剣そのものだった。
「あと3分後、見逃さないで」
確かな意志を秘めたその声に半ばあっけに取られながらも、私は視線を星空に向けた。
「………………」
そのまま私とその少年の間には聖夜の沈黙が訪れた。


どれくらいの時間そのままでいただろう。
無限とも思える静寂の先に今までに見た何よりも綺麗な流れ星が視界に入った。
病気が治りますように……。
病気が治りますように……。
病気が治りますように……。
「………………あ」
私の願いを聞いてくれたのか、聞いてくれてはいないのか、流れ星は静寂の闇に消えていった。
「これで良いの?…………あれ?」
少年に話しかけようとして、しかしさっきまで少年がいた場所にその姿は無かった。
「あら……?」
程なくして夜間見回りの看護士さんに窓を開けているところを見つかり、そのまま就寝することにした。


次の朝。
「………………ん?」
主治医の先生が朝の定期健診の際に怪訝な声を上げ、そのまま精密検査となった。
「これまで悪性の腫瘍があった箇所の腫瘍が綺麗さっぱり無くなっているようだ……」
私もまさかとは思っていたが、真剣なまなざしで告げられたことに一切の誇張や偽りのようなものは見られなかった。
そこからは何もかもが目まぐるしく、健康体になった私の身体に日常生活に必要な体力が戻るようにとリハビリの日々が待っていた。


そんなある日、リハビリを終えて付き添いの看護士さんと病室に戻っている途中のこと。
「……あれ?」
私は無人になっている1つの病室を発見した。
「どうしたの?」
私の様子を伺うようにして看護士さんが訊ねてきた。
「この病室誰も居ないの?」
1人部屋の病室が空いていることはそうめったに無い事だと思っていたので、何の気なしに聞いてみた。
「あぁ、その病室はね……」
看護士さんは急に物憂げな声になり、
「君よりちょっと小柄な男の子が居たんだけど……」
その時不意に私の脳裏にあの少年の姿が浮かんだ。
「クリスマスの夜、急に意識が無くなってそのまま……」
もう痛まないと思っていた心が一瞬ぐらりと歪んだ気がした。
「……あら、せっかく完治した人に言うお話じゃなかったわね」
取り繕うようにして看護士さんがそう言った。
「…………ううん、別に気にしてないよ。もう行こう?」
そのまま私は看護士さんを先に促した。
そして一度だけその病室を振り返って呟いた。
「……ありがとう、小さなサンタさん」
posted by ルエ at 12:52| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする